5月26日のブログで、「いい家の探し方」についてまとめて書きました。
このブログを見て、「拓友建設が考える『いい家』って何なの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
その一つの答えが、2008年に札幌市北区南あいの里に建てたモデルハウス「hakua(ハクア)」です。
- 敷地面積:234.26m2
- 1階床面積:66.33m2(カーポート:23.99m2・合計:90.32m2)
- 2階床面積:56.65m2
- 延床面積:122.98m2(カーポート含むと:146.97m2)
- Q値=1.17W ●C値=0.38(cm2/m2)
※地中熱ヒートポンプ冷暖房、オール電化 北方型住宅登録
当時は断熱性能をUA値ではなくQ値で計算しました。現在の札幌版次世代住宅基準に換算すると、ベーシックレベルとスタンダードレベルの間ぐらいになります。
建築当時トップクラスの住宅性能と省エネ性能と、優れたデザインや使い勝手を組み合わせた自信作です。
この築12年の住宅を隅から隅までチェックする機会がありました。
オーナー様は、街中の分譲マンションに住んでいましたが、地中熱ヒートポンプの採用など光熱費が安く、デザインが良いこのモデルハウスが気に入り購入されました。
しかし、ほどなく転勤となってしまい、10年以上別の方に貸し出されていました。今回その方が引っ越すことになり、オーナー様は中古住宅として売却することを決めました。そこで、売却する前に外観や内装などのチェックをすることになったのです。
どういう状態になっているのか、とても興味がありました。
写真を見ながらチェックしていきましょう。
す。塗り壁は表面に細かい凸凹があるので、施工後数年で雨だれ汚れやコケが付くということもあります。汚れが目立ちやすい白を選択するのは勇気がいりましたが、12年経ってもオフホワイトの美しさを維持していますね。よく見ると、入隅部分(上の写真)や、換気フードの下がやや汚れているものの、12年経った家とは思えません。
この塗り壁は、「無光触媒」という特殊なコーティング技術で汚れをセルフクリーニングします。コーティング剤が酸素や水分に触れると活性酸素を生成し、汚れの元となる有機物を分解する働きがあるのです。
「完成したとき白ければ後は汚れてもいい」というのであれば、もっと安い塗り壁材を選択することができました。でも、建ててから10年、20年と美しい家に住んでほしいという思いがあります。耐久性やメンテナンス性の良い建材の選択はとても重要です。
建物と一体化したカーポートはゆうに2台分の車がとめられます。モデルハウスが完成した当時、ニュータウンとして売り出し中だったので回りにもモデルハウスが何棟も建ちました。でも、カーポートを標準装備した家はほとんどありませんでした。しかし、モデルハウスが売却されると、なぜかみなさんカーポートを後付けしています。冬の積雪量をご覧になってカーポートの重要性を再認識されたのだと思います。
このモデルハウスは、街中よりも積雪が多めな地域ということを意識し、設計段階からカーポートを付けてデザインされています。カーポート部分の屋根厚が微妙に変わっているのは、遠くから眺めたときのバランスを考えてのこと。こうしたデザインの工夫は、建築家といっしょになって議論し、考えた結果です。
中に入ってみます。
住居部分は延床面積が122m2ですから、モデルハウスとしては大きくありません。現在、札幌市内で注文住宅を建てるときもだいたい110~120m2ぐらいが多いので、現実的なサイズの住宅です。
このふつうの面積の家を広く使うため、完全に仕切っているのは主寝室とトイレやお風呂だけ。あとは来客時に使う1階の小上がりも子ども部屋もオープンな空間にしました。その代わり、収納やからくり屋敷のような間仕切りの工夫で広く使え、来客に見せたくないところをうまくカバーできるようにしています。
玄関で靴を脱ぐと、廊下がなくていきなりリビングやダイニングにつながっています。でもご安心下さい。簡単な操作でダイニングだけ仕切ったり、リビングだけ仕切ることができる可変間仕切りを造作しています。不意の来客があっても慌てる必要がありません。無駄な空間を作らないための工夫です。
内装材はどうでしょうか。
1階も2階も床はすべてナラの無垢材を使用しています。12年経っても色あせや目立ったキズやへこみも見受けられず、丁寧に使用されていることがわかります。賃貸であっても、入居者がグレードの高い住宅と意識し、気を遣ってお住まいになっていたのだと思います。
リビングには澪工房で造作したサイドテーブルやソファが置かれています。これも12年経ってもきれいですね。札幌市内には、こうしたデザインと品質に優れた家具工房がいくつもあります。
リビングの奥には小上がりが。ここにはいろんな仕掛けがいっぱいあります。
話が長くなりましたので、続きは次回のブログで。