前回のブログ
「築12年でも拓友建設の家は「いい家」でした」
では、築12年経った札幌市南あいの里にある拓友建設の高性能モデルハウス「hakua(ハクア)」が中古住宅として売りに出される前に、外観と内装について確認・検査する機会があり、楽しみながら確認させていただいたという内容を途中までお話しました。確認・検査した結論は前回のタイトル通りなのですが、一部課題も見つかりました。今回はそのことも含めてお話ししようと思います。
さて、前回の話の続きです。
玄関からリビングに移動し、小上がりまで来ました。
この小上がりはリビングから40cmほど高いところにあります。リビング用のソファもだいたい座面の高さが40cm前後ですから、この小上がりは第2のソファとして使えます。たとえば両親が遊びに来たり、サークルのお友達が来るなど、多人数の来客があっても楽しく過ごせます。
畳敷きなのは、和室として使うことを想定しているからです。
障子なので、仕切っても光が透過して暗くならないメリットも
実家のご両親が遊びに来て泊まる場合は、収納されている引き戸をズズズーっと出すと・・・
なんとすべて障子になっていて、内部は完全に和室。プライバシーを守り、お布団でゆっくり寝られます。
この畳を上げると、内部は床下収納です。全く無駄がありません。
床下収納以外に、ステンレスの機械も置かれています。地中熱ヒートポンプです。
住宅の基礎を支える鋼管杭の内部に採熱管を入れ、地中熱を採取しています。地中は年中ほぼ温度が一定で、冬は外気より暖かく、夏は外気より涼しい。それを活用することで、ほとんど電気代をかけずに冷暖房ができます。
もっとも現在では、戸建住宅に使われることはあまりありません。ヒートポンプ機器や工事費用が高い上に、補助金の額が大幅に減ってお客さまにお勧めしづらくなったからです。当時は国が積極的に補助金を出したため、拓友建設でも何軒も取り組みました。設置されたお客さまは、暖房費が大幅に削減され、メリットが大きかったと思います。ただ、補助金なしでは設備・工事費用がなかなか安くならないため普及しませんでした。
次にユーティリティーやお風呂を見てみましょう。
ユーティリティーも斬新な設計をしています。
半透明の板でユーティリティーを仕切っていますが、手前に引いて開けることもできます。
お風呂は、一般的なユニットバスではなく、木の羽目板とタイルを張った造作です。12年経っても木部にはカビも見られずきれいです。お風呂は湿気が多いため湿気に強い木材を使っても黒いカビが発生しがちです。
この羽目板、実は断面のカットの仕方に秘密があります。水が内側に入り込まずに外に水が切れるよう工夫しているのです。もちろん通常よりも手間はかかりますが、家を長持ちさせる作り方、施工を常に考えています。見た目は施工のやりかたの区別はつきませんが、こうした見えないところまで手間を惜しまずにやることが大事だと考えています。
ここまでは12年経った家の良い面をご報告してきました。しかし、一部に問題もあり、修繕が必要となりました。
それは、窓周りのカビです。原因は、換気システムをほぼ止めていたからだと推測しています。
この住宅は、窓と玄関ドアはすべて木製です。木は断熱性に優れ、見た目の温かさや質感にも優れます。断熱性、気密性に優れた高性能住宅です。通常は換気システムをきちんと動かしていれば木枠がカビることはありません。しかし、換気をとめてしまったらどうなるでしょう?
気密性に優れた住宅なので、壁の隙間から新鮮な空気はほとんど入ってきません。すると、室内の空気が澱みます。北海道もムシムシした夏が増えてきていますので、カビが生えても不思議ではありません。
今回は、このカビ除去作業を行いました。このようなことになったのは、おそらく賃貸住宅として使われたため、換気の重要性、常時運転しなければいけないことが、住む人に十分に伝わらなかったからではないかと思います。
不動産会社は、換気や断熱・気密の重要性を深く理解しているわけではありません。こうした高性能住宅を貸し出すときは、「住まいの説明書」を作って住む方に正しい使い方をご理解いただく必要あるかもしれないなあ、と感じました。