Sさま邸の特徴
石狩市のSさまのお宅は切り妻屋根の平屋建て。外壁には塩害を受けにくい高耐久なレンガ調サインディングを、熱源にはお一人住まいの安全性と暖かさを考慮してオール電化を採用しています。外断熱なので小屋裏も室内同様の暖かさ。Sさまのご希望で家族や親せきが集まった時には開放して広々と使える間取りになっています。
設計/拓友建設 撮影/宮田千香子
この土地で釣具店を営んでいたSさま。店舗併用の住宅は築40年だったので、今回お店をたたむのを機会に新しい家を建てることになりました。
お一人でメンテナンスが出来ないかも知れないということから「手のかからない」素材選びから始まりました。
写真:シンプルな切り妻の正面外観。来客用に駐車スペースも確保された。風の強い地域だが、玄関フードの中はまるで温室のよう。
写真:広めの玄関には何かと便利な腰掛けも。角に足をぶつけたりしないよう、曲線で作る配慮をしてある。
まず外壁は、すぐ近くが海なので塩害を受けにくいサイディングに。これは通常よりも厚めで10年保証が付いているものです。
屋根も耐久性が高く厚い素材で<エレガ>という新商品を使いました。窓は手入れの楽な樹脂サッシに。いずれも塗り替えがほとんど不要なものです。
そして安全性と暖かさを考えてオール電化にしましたが、写真を見てもわかるように部屋に大きな暖房器がありません。これは電気ボイラーを取り入れたためです。ダイヤルで温度設定をしておけば、センサーで家の中はいつも一定の暖かさ。スマートなパネルが窓下にあるだけなので、部屋も広く使えます。
写真:囲われた広い庭には、これからたくさんの花や野菜が育つ予定。季節ごとに家の印象も変わっていくだろう。
ボイラー自体も、灯油やガスのそれと比べても小さめで場所をとりません。小さくて高性能な家にはピッタリだと思います。
さらに強く暖かい家を実現するため、外断熱にしました。冷たい風が吹くこの地域でも、家の中はぬくぬくの結露知らずです。
写真:キッチンに床暖を入れることで、冬の立ち仕事も苦にならない。浴室の天井をドーム型にすることで実際よりも広く開放感のある印象に。電気ボイラーは壁に掛けてもこの薄さ。室温の設定も簡単に出来る。
外断熱のメリットの一つに「小屋裏が出来る」ということがあります。今回のお宅でも居間よりも広いスペースが確保されました。
天井に収納されている階段を上がると、そこは大人がちゃんと立ち上がることが出来る立派な居室。。以前使っていた家具や客用布団、季節外のものを収納し、さらにテーブルと照明を置いてゆとりのスペースも設けてあります。お孫さんが遊びに来れば秘密基地になってしまうそうですが。
写真:小屋裏内部。感動の広さ。屋根で断熱されているのでここも部屋と同じく快適な温度。梁にはこんな奉りが。職人の息吹を感じる。
「最初からこうしていれば」
そう思うことは悔しいものです。住む方によって暮らし方や価値観、快適さの基準は違います。だから私どもは、それぞれに合わせた家をご提案せずにはいられません。
写真:この階段で小屋裏へ。階段は棒1本で簡単に出し入れできる。和室の引き戸は壁に収納できるので普段はリビングとつなげて開放的に。床の段差ももちろん無い。正面は納戸の引き戸。
生活のスタイルは100人100様
Sさまは、家族や親戚が集ったときなど、お仏壇がある和室を開け放してみんなで楽しく語らえる空間が希望でした。しかし、しきりのない広い空間で暮らしたい方もいます。家は施主のモノ。私どもは既存のものを売るやり方はしたくありません。その方の生活スタイルにあった家を、これからもご提案させていただきます。